小・中学校では毎年視力検査が行われています。視力が1.0以上をA、0.9~0.7をB、0.6~0.3をC、0.2以下をDと4段階で記入されています。まれに幼児期からの弱視の場合も有りますが、視力低下の原因の多くは近視や遠視など、屈折異常によるものが殆どです。視力の低下が指摘された場合に、屈折補正度数レンズをかけて測る矯正視力検査なら良い視力が出るか調べる必要があります。もしそれでも十分な視力の改善が認められなければ、視神経や網膜など眼球全体や、時には脳の検査まで行われる事があります。しかし以前からも有りましたが、様々な検査の結果で異常が認められないのに、矯正視力が十分に出ない学童が最近増えてきているのです。「心因性視力障害」と言われるものなのです。

 

  今は様々なストレスの多い時代と言われていますが、大人だけではなく子供にもその影響が強くあらわれて来ているのです。ストレスによる心身症は循環器や消化器系統にも出ますが、目の心身症には眼瞼痙攣や「心因性視覚障害」としての視野狭窄、心因性夜盲、色視症等も有りますが、学童に多いのは「心因性視力障害です。小学1~2年生の時には良い視力が出たのに、3年生の検査では矯正しても0.6以上の視力が出ないなどがその代表的ケースと言えます。個人差はありますがまとめると次の様な特徴が認められます。

◎ 発症年齢は8歳から12歳位までが最も多い。

◎ 男女比では女子が男子の3~4倍多い。

◎ 最高矯正視力は0.40.6程度で、本人の視力低下による不便などの訴えは比較的少ない。

◎ 視野検査では特有の狭窄が認められる事がある。

◎ さらに視力が低下して失明するような事はなく、一年以内に矯正視力の改善が認められる事が多い。

 

  視力の回復には、心身症の原因となっているストレスの軽減が根本となりますが、家庭内や学校生活での問題以外に、子供特有の原因も考える必要があります。例としては「下の子どもさんとの親の愛情表現の違い」、「塾や習い事の過多」、「親の過干渉」などがあります。珍しいケースとしてはメガネ願望によるものがあり、度の無いレンズのメガネをかけただけで良い視力が出ることもあります。親子で受診し医師と相談して経過をみて行けば予後は多くの場合良いので、視力についてあまり心配し過ぎるのはかえってよくありませんが、何度も繰り返したり、原因が複雑なケースでは小児科や精神神経科の受診が必要な場合もあります。