近視の進行には遺伝的な要因と環境要因があげられます。両親のうちお一人でも近視の方がいるとそのお子様の近視のリスクが上がります。強度近視の場合は特に遺伝的な要素が強いと考えられます。遺伝的な要因は避けることができないため、主に対策としては環境要因の改善があげられます。
 環境要因の改善方法として、近視研究会より以下の7項目があげられています。


1 .1日にできれば2時間は外で遊ぶようにしましょう。
2. 学校の休み時間はできるだけ外で遊びましょう。
3. 本は目から30cm以上離して読みましょう。
4. 読書は背筋を伸ばし、良い姿勢で読みましょう。左右どちらかが本に近い状態にならないよう、均等な距離になるようにして読みましょう。
5. 読書・スマホ・ゲームなどの近業は1時間したら5分〜10分程度は休み、できるだけ外の景色をみたり、外に出てリフレッシュしましょう。
6 .規則正しい生活(早寝早起き)をこころがけましょう。
7. 定期的な眼科専門医の診察を受けましょう。

 

ただ実際には上記の特に①や②は難しい場合もあると思います。

いままでは近視の進行を遅らせる方法として、医学的なエビデンスのある方法はあまりありませんでしたが、近年の研究でいくつかの近視進行抑制のエビデンスのある対処法が示されています。現在のところ下記の4種類が方法として挙げられます。

 

1 .累進屈折力眼鏡(PAL)
2 .一部の遠近両用ソフトコンタクトレンズ
3 .オルソケラトロジー
4. 低濃度アトロピン点眼

 

1 .累進屈折力眼鏡を選ぶメリットとしては通常の眼鏡をかけることと同じ程度のリスクで、極めてリスクの低い対処法であることです。以前はドイツのツアイス社よりMCレンズという小児用の眼鏡レンズが利用できましたが、残念ながら平成30年1月31日で販売が終了になります。

2 .を選ぶメリットも通常のソフトコンタクトを使うことと同程度のリスクで、リスクの低い方法です。遠近両用ソフトコンタクトレンズにもいろいろな種類があり、このうちある種類のソフトコンタクトレンズが眼軸長(目の奥行きの長さ・・・目が奥に長いほど一般に近視が強くなります)の進展抑制に効果があったとの報告があります。この方法は今後の研究により更なる進歩が期待されています。

3 .オルソケラトロジー 夜間寝ている間に特殊なハードコンタクトレンズを目に入れて寝る方法です。このことにより角膜を部分的に圧迫して変形させて近視を軽減させます。この方法も近視進行抑制に有効なエビデンスが報告されていますが、取り扱いの不備等で重篤な副作用が出ることも報告されています。また20歳未満の方への使用は日本コンタクトレンズ学会のガイドラインの範囲外のため当院では現在のところは行っておりません。

4. 低濃度アトロピンも現在のところシンガポール1か国から有効だとのエビデンスが報告されております。国内でも一部の施設で保険外診療(自由診療)で行われています。ただ世界的に普及しているわけではありません。国内で治験を受けて、近視進行抑制点眼として承認を受けたものは今のところまだありません。検査薬として国内で承認をされているものを希釈して適応外使用しているか、もしくは海外の点眼薬(国内未認可)を一部の施設で輸入して使用されております。もし本当に有効でリスクの低いものでしたら、国内できちんと安全性および有効性の治験が行われ使用されることが望まれます。当院では国内で未認可の治療は現在のところは行っておりません。

 

 近視の進行をできるだけ遅らせるためには、まず環境因子の改善(近視研究会の7項目)をできるだけ努力していただくことが一番大切です。
 近視進行抑制眼鏡や一部の遠近両用ソフトコンタクトレンズも近視の進行抑制に効果は期待できますが、効果は大きくはなくて限定的です。そのため平田眼科では、通常は一般的な近視・遠視・乱視などの眼鏡やコンタクトの処方と指導を行っております。その中で近視進行抑制の観点から、特にご希望のある方には①累進屈折力眼鏡(PAL)もしくは②一部の遠近両用ソフトコンタクトレンズの処方を行っております。