「高血圧」と眼底検査
2014年05月13日 掲載
日本では現在約3000万人の方が高血圧と 言われています。50代では2人に1人、60才以上では3人に2人が高血圧<と考えられています。高血圧は原因のはっきりしない本態性高血圧が9割 を占め、残りの1割が腎炎や褐色細胞腫等からくる二次性高血圧です。もちろん本態性高血圧の場合も遺伝的体質や年齢的要因に加えて、生活習慣(タバコ、お 酒、過労、ストレス、食生活等)が大きく影響していると考えられます。高血圧の診断は、上の血圧(心臓の収縮期圧)が140以上、下の血圧(心臓の拡張期 圧)が90以上なら高血圧とされますが、上の血圧が135以上、下の血圧が80以上なら高血圧予備軍と言っても良いでしょう。
一般的に男性は女 性より上・下血圧共高いことが多いのですが、60才以上の場合は上の血圧は女性の方が高くなる傾向があります。血圧が高くなると血管の内壁に圧力がかか り、血管壁が硬くなり動脈硬化を起こします。動脈硬化が進行すると血管の中が狭くなり血液の流れが悪くなることによって脳梗塞や心筋梗塞の 大きな原因となります。血圧が高い時は首の後ろや後頭部が重くなったり、肩こりを感じる時もありますが、ほとんどの場合高血圧には自覚症状がありません。 また高血圧を自覚されていても生活習慣の改善やお薬などで治療効果が上がっているか調べるためには、血圧測定だけではなく定期的に眼底検査を受ける必要があります。
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眼底検査は 医師が直接眼底を観察する方法と眼底カメラを用いる2つの方法によって行なわれます。眼底とは眼球の内側でカメラに例えるとフィルムの部分になります。眼 底には動脈や静脈の血管が走っていますので血管を直接観察することが出来ます。人間の体の中で血管を直接観察することが出来るのは眼底だけです。高血圧眼底の 程度判定は動脈の太さが静脈の太さに比べてどれだけ細くなっているか、また動脈の太さが一定でなく太さにムラがないかなどを観察することによって行なわれ ます。動脈が静脈の太さに比べて2/3以上なら正常、2/3~1/2なら軽度、1/2~1/3なら中等度、1/3以下なら高度の高血圧変化となります。
動脈硬化の程度判定は動脈の太さの中心部分が白く光って見える部分の幅の程度を観察することと、動脈と静脈が交叉している部分で静脈が動脈によって圧迫されどれだけ くびれているかを見ることによって行なわれます。白く光っている部分の幅が動脈の太さの半分以上ならすでに動脈硬化が始まっていると考えられます。
眼科的にも高血圧や動脈硬化によって様々な症状が眼底に現れます。典型的なものとしては、図のように眼底の静脈に閉塞が起ると著しい出血が認められることがあります。また網膜の動脈が閉塞した場合は直ちに治療を行なわないと視力の回復が困難となってしまいます。
このように眼底検査はいろいろな眼科の病気の発見や治療のために必ず行なわれる検査ですが、高血圧や糖尿病その他の全身的な病気の早期発見や経過観察のためにも絶対に欠かせない重要な検査です。平田眼科では撮影した眼底画像をフィルムやファイリングシステムに保存し治療効果の判定と経過観察に役立てております。
すでに内科等で治療を開始しておられる方はもちろん人間ドックや健診で高脂血症、高血糖、高血圧等の指摘を受けた方はなるべく速やかに眼底検査を受けられますようおすすめいたします。