目の健康だより「網膜剥離(1)」

網膜剥離(1)

さまざまな目の病気

2014年05月24日 掲載

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網膜剥離は日本で年間約1万人の方に起る目の病気です。目をカメラに例えると網膜はフィルムに当たります。フィルムが破れたり、剥がれて後ろから浮き上がった状態が網膜剥離の状態と言えます。厚さが0.1~0.4ミリの網膜は一枚で出来ているのではなく、10層から成り内側の9層を神経網膜一番外側の層を網膜色素上皮と呼びます。この両者の間の接着が弱いためここで剥がれてしまうのです。

 

まず網膜に裂孔が出来てその孔から網膜の後ろに水(液化硝子体)が回り込んで剥がれてしまうものを裂孔原性網膜剥離と言います。これ以外に裂孔が認められずブドウ膜炎等で炎症性の水が網膜の後ろに貯まって剥がれる滲出性網膜剥離と硝子体の中に増殖物が出来てそれが網膜を引っ張って剥がしてしまう牽引性網膜剥離(糖尿病網膜病の末期に多い)があります。この中で一般的に起りやすい裂孔原性網膜剥離について述べてみましょう。

 

好発年令は中高年20才代の2つに山があります。硝子体が変化し萎縮してくる45才以降に発症する中高年タイプは発症からの進行が早いのが特徴的です。中高年タイプに比べ数的には1/4程度ですが、20才代を中心として起る若年タイプの原因は先天性素因アトピー体質が考えられます。まだ硝子体がしっかりしているため進行が遅く発症から何年もたってから発見されることもあります。

 

高度近視の方は眼球が前後に長く伸びるため網膜が薄くなり硝子体も変化しやすいので全年齢にわたって度の軽い方や遠視の方より発症しやすい傾向があります。裂孔原性網膜剥離が起る前兆としていろいろな症状が自覚されます。

 

飛蚊症・・・明るい所で白い紙や壁を見た時に目の前に虫やゴミが浮いているような感じがします。ほとんどは生理的なもので心配ありませんが、急に数が増えたり大きな濁りが出た時特に墨を流したようなものが見えた時はすぐに眼底検査を受ける必要があります。

光視症・・・暗い所で目を動かすと瞬間視野の周囲で光がピカピカと見える症状です。(5~6分間もギザギザの光が持続して見えるのは閃輝暗点と言って別のものです。) 変化した硝子体がくっついている所で網膜を引っ張るために起る現象です。

視野狭窄・・・網膜が剥離している部分は視力が出ませんので進行してくると視野の中に見えない部分が現れます。それが中心部に及ぶと中心視力も低下してしまいます。

飛蚊症又は光視症のみが認められた段階でも念のため早めに眼底検査を受けるようにしましょう。その場合網膜剥離はまだ起っていなくても網膜に孔だけが発見されることがしばしばあります。網膜に孔が開いていても無症状で何年も進行しないこともありますが、いつそこから剥離が起るか分かりませんので予防的にレーザー光凝固手術を受けておいた方が良いでしょう。この場合は入院は不要で外来手術として行なわれます。すでに孔の周囲が剥離してしまっている時は、眼球の外側から枕を縫い つけ眼球壁を内側にへこませて剥がれた網膜を復位させる復位術や網膜を引っ張っている硝子体を切除する硝子体手術が行なわれます。同時に孔の周囲には光凝 固や冷凍凝固を行ない再剥離しないようにします。この場合は症状にもよりますが、1~2週間前後の入院が必要となります。退院後も2~3ヶ月は激しい運動 やお仕事は避けなければなりません。

 

裂孔原性網膜剥離は大正時代までは発症イコール失明という病気でしたが、昭和の初 期にスイスのGonin博士により裂孔を全て閉鎖する手術方法が提唱され治療への展望が開かれました。その後数々の改良と新技術の導入により今ではほとん どの症例で失明から免れることが出来るようになりました。しかし、この病気が目の病気の中で大変重い病気であることに変わりはありません。良い治療結果を 得るためには初期症状を見逃すことなく早期発見、早期治療が必須条件となります。

 

平田眼科では眼底検査以外にも硝子体や水晶体が濁っていて眼底が観察出来にくい方には、超音波検査も組み合わせて網膜剥離の早期発見につとめております。日頃から飛蚊症光視症視野狭窄の有無をご自分で片目ずつ観察して少しでも異常を感じられたら早めに当院で検査を受けるようにして下さい。また以前に網膜剥離の手術を受けられた方や予防的光凝固術を受けておられる方は半年に1回位は眼底検査を当院で受けられると良いと思われます。

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